コミュニティ広場

受講の感想

「元就死後の毛利氏の戦い」 を受講して 

 受講生 広島市東区 吉田 晶成

私の仕事は主に体を動かすことが多い、最近の趣味はランニングや近場の山に登ることだ。座学は学生時代以来だから、かれこれ二十数年ぶりになる。 ということで、現在受講しているこの講座は私の日常の対極にあるのだが、しかし歴史を学ぶには非常に良い環境だ。人生の先輩方と机を並べて、落ち着いた雰囲気で先生の講義を受ける。当講座を担当されている光成先生は、テレビの歴史番組でコメントをされるような方で、私もテレビで何度か拝見したことがある。その豊富な知識から私共の質問にも、通説だけではなく独自の見解を織り交ぜて、その柔らかな口調で丁寧に答えてくださる。

主には当時書かれた古文書を読みながら講義は進められていく、手紙や通信文を毛利方と相手方の思惑を巡らせながら解説をしてくださる。古文書に出てくる単語も当時と現代では違うところも多く、非常に興味深い。 例えば「警固」 けご と読むのだが、これは現代で言う「水軍」のことだそうだ。博多に「警固」呉には「警固屋」という地名があるが由来はそこからきているのだろう、確かにどちらも海に近い。

歴史というのは、非常に面白いものだ。私も子供のころから戦国時代や明治維新、三国志などを本やテレビ、あるいはゲームなどで親しんできた。最近その歴史に特に思うことがある。それは、史実(本当のこと)であるかどうかとういうことだ。例えば奈良時代に著された日本書紀は、時の権力者である藤原氏に都合の良いように書かれている部分があるという。勝てば官軍という言葉があるように、歴史の一部は勝者によって紡がれた可能性があると思うのが自然だろう。

また歴史を物語として創作した書物や、語り継がれた話などは内容を面白くするために大幅に脚色したものも多いようだ。例を挙げると、三国志の諸葛亮は自軍に有利になるよう風向きを変えたという、平清盛は扇で夕日を招き返した。毛利元就の「三矢の教え」も実際に矢を折らせたということはなかったようで、三人の息子へ宛てた「三子教訓状」がもとになった創作だという。

人の噂話や都市伝説のようなものは、いかにもありそうで、面白い話であればあるほど広まっていくようであるが、歴史もその例外ではないだろう。しかし歴史を好きになるには、このようなキャッチーなエピソードもある程度必要なのかもしれない、現に私もそういう入口を通って来たからだ。

「嘘も百回言えば真実となる」という言葉もあるが、歴史を深く知るにはやはりそういう所を精査して「事実」か「作り話」かを、ある程度明確にすることが大切である。歴史というのは日々新しい解釈が生まれる。私が学生の頃に学んだ歴史と現在では教科書などもだいぶ違っているだろう。

因みに歴史の大局にはあまり関係はないが、例えばこういう挿話が本当はどうだったのだろうと疑問に思ったりする。
 ・信長は死ぬ間際に「敦盛」を本当に舞ったのか?
  ・秀吉が草履をふところで温めたのは本当か?
  ・石田三成は秀吉に茶の温度を変えて出したのは本当か?
  ・加藤清正は本当に虎を退治したのか?

正に歴史の中の余談である、余談であるのだが歴史好きにとっては重要なスパイスでもある。こういう話は星の数ほどあると思う。個人的に光成先生に上記のような“よもやま話”の本を解説付きで出してもらえたら非常に嬉しい。

そしてやはり、郷土の英雄である毛利元就のことを学べる嬉しさはこの上ない。戦国時代、小さな国人領主からのし上がり中国地方の覇者となった。その後毛利氏は関ヶ原に敗れたのち明治維新で雪辱を果たす。毛利元就のことを学べる機会というのは実はあまりないのではないかと思う。世間に溢れている歴史の情報というのは、戦国時代であれば信長、秀吉、家康から、信玄、謙信くらいまでである。中央から外れているが為に、なかなか情報がのってこないのだ。

司馬遼太郎が著書でこんなことを書いている。戦国時代、京都あたりでは「中国者の律義」などといわれていたようだ。この中国者とは主に毛利氏のことであるらしい。「概して聡明だが機鋒をおもてに出すことなく、どこかおっとりしている。外交上、約束したことは必ずまもる。むろん中国者のなかにその例外が無数にいるにしても、そういう印象を領域外のひとびとに持たしたというのは容易なことではない」

面白いと思った。現代の中国地方の人々の気質にもあてはまるような気がしたからだ。なぜか世界から見たときの日本の印象と言えなくもない。私の個人的なことを書かせてもらうと、最近色々なことを知ったり、学んだりすると、とりわけもっと知りたいと思うようになることが多くなった。歴史のことはもちろん、政治や文化、スポーツ、あるいはヒロシマのこと。その知り得た知識や経験をまだ幼い娘と息子に少しずつ伝えていきたい、そう自分自身で感じるようになったのだ。

自分の郷土がどのようなところなのか、毛利氏から戦争や原爆のこと、ひいてはカープやサンフレッチェのことまで、子供達にはそういうバックボーンを備えた郷土愛に満ちた人間に育ってほしいと思う。

「歴史にはロマンがある」よく聞くフレーズである。「男のロマン」これもまたよく聞くフレーズである。
今、受講している講座はだいたいいつも10人弱だが、全て男性である。先生も含めて恐らく皆ロマンに溢れていると思う。最近は歴女ブームとも聞くが、この状況を考えるとまだまだ歴史は男子の独壇場なのかもしれない。もし興味のある歴女の方がおられるなら、自信をもってこの講座をおすすめする。

受講講座:「元就死後の毛利氏の戦い」

 

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